なみのりいるかの夢

しばらくは雑記です。

映画 「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」

映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観てきました。

この世界の(さらにいくつもの)片隅に【映画】

 

丁寧に大切にそれぞれの想いと仕草と感情が描かれていました。あの時代の人々の生活がすぐ隣にある様な臨場感がある中に、掌からこぼれ落ちていく命の切なさがあります。さらに今回はここからも生きて暮らしていくのだと言う描写もあり、心がざわつきました。

リンさんとすずさんと周作さんの細かな話が当時の普通の女性と男性との立場や心情やあれやこれやで追加されていて、観れて良かったです。周作さんは普通の人なのですよね。純情で朴訥で、でも精一杯すずさんと生きているんですよ。すずさんも訳が分からないうちに嫁に来て、それでも頑張って淡い気持ちから好きになって、嫉妬する迄思って、喧嘩するまで愛する間になるのですよ。リンさんは辛いです。それでもいくつかは幸せな思い出があってくれたと想いたいです。

戦争映画として観るのか、当時の生活を観るのか、男女の仲の話として観るのかと、それぞれあると思いますが、最後の最後まで観て下さい。

 

 

この世界の片隅に

この世界の片隅に

  • 発売日: 2017/04/26
  • メディア: Prime Video
 

 



映画 「Red」 原作 島本理生

原作とラストが違うと言う「Red」を観てきました。

Red | 大ヒット公開中!

原作のラストが好きな方も、あのとき選ばなかった世界のお話と見れば納得いくことでしょう。

 

色々映画の長さにする為の変更はあるものの、鞍田さんと塔子と小鷹さんの絡みが映像になると破壊力あります。あとキスがエロいです。取れない口紅が欲しくなるぐらいエロいです。車での手の絡みも良かった。

鞍田さんの部屋は、何も無い捨て去った中に照明が良いアクセントになっています。捨てたの言葉の重みが違います。そして、行き違う想いと重なる想いと最後の時間があの部屋で積み重なっていったのですね。

最後の塔子の選択は筋の通った意地と言うか想いがあって、私は好きです。パートナーと観て感想を話し合うのも良いと思います。他の人の感想が知りたい!

 

個人的に「Red」は昼ドラ向きだと思っていたので、映画で短くまとまってしまったのは残念かな。天婦羅食べるシーンとか、2人で美味しく楽しく食べるシーンがもっと欲しかった。島本理生先生の作品は美味しい食べ物が出てくるシーンで情景を表しているところもあるので、やっぱりほとんど出てこないのは残念だった。それでも大切な所はしっかり押さえてあるので、映画を見てから原作でも、原作から映画でも、どちらでも楽しめる作品になっていると思います。

 

Red (中公文庫)

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  • 作者:島本理生
  • 発売日: 2017/10/27
  • メディア: Kindle版
 

 

 

映画 海獣の子供

久々に映画館へ行ってきました。今回は「海獣の子供」です。原作を未読なのですがあふれる生命感ですごかったです。

アニメーション映画「海獣の子供」公式サイト

 

宇宙と海と人と、そして全てのつながりと、2人の海獣(ジュゴン)に育てられた男の子と主人公の女の子が哲学的と言うか仏教的な絡み合いで、目が離せませんでした。

生き物好きとしても新江ノ島水族館が何度も出てくるし、魚ではなくマイワシ、ツノダシ、カクレクマノミ、シマダイ、ハナミノカサゴ、マンタ、マイルカ、カマイルカ、オキゴンドウ、ジンベイザメ、ザトウクジラ、メガマウス、リュウグウノツカイと名前がわかる様に書き込んでくれて素晴らしかったです。

残念なことにカニとヤドカリは詳しくないので、詳しい方が名前だして下さると嬉しいかな。

観た後に水族館か江ノ島か新江ノ島水族館に行きたくなる映画でした。

 

新江ノ島水族館

 

 

映画「海獣の子供」ARTBOOK

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海獣の子供 全5巻完結セット (IKKI COMIX)

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映画 ネタばれあり「ペンギン・ハイウェイ」

映画を見て、原作の小説を読み返して、色々気になる点が色々と出て来たので、もう一度映画を観に行ってきました。

映画『ペンギン・ハイウェイ』公式サイト

以下ネタバレありの感想です。

 

OPはアデリーペンギンのPV的で最高です。よたよたと進む中、道路を横断し、猫に襲われて水路を飛ぶように泳ぎ、〈海〉へとつながる藪へと進む姿は可愛いです。後日の聞き取りで、ぶつかった車が凹んだのにペンギンは無事だったのも出ています。

SF的な面白さのネタバレなくこの映画を紹介すると、少年とお姉さんとおっぱいになるのですが、楽園追放が尻アニメとしか言えないのと同じと言ってる方がいましたが、海の事もお姉さんの正体も言えないですから、おっぱいに集約しちゃうのもしょうがないのかな。でも、好きなものとしてアオヤマ君はお姉さんのおっぱいをちゃんと考察しています。お母さんと比較したり、お椀二つと比べてみたり、牛のおっぱいと比べたり、シロナガスクジラのおっぱい(原作)に想いを馳せたりと真剣に向き合ってます。考察についてはパンフレットにアオヤマ君ノートがありますので気になる方はパンフレットをどうぞ。

結構早くからペンギンは出ているのですが、お姉さんがペンギンを出せる事がわかるのは歯科医院で「スタニスワフ症候群」のお話の後です。この病名はSF小説「ソラリス」の作者、スタニスワフ・レムから付けられた名前なんだそうです。「ソラリス」を読むと切なさが倍になるので読んでみて下さい。

コーラの缶がペンギンに変化するシーンは何度でも見たいシーンです。ぽてっと落ちた後の姿も可愛い!お姉さんが出したペンギンなので本物のアデリーペンギンとはちょっと違う何かなんですよね。このペンギンはウチダ君に保護されてペンタと名付けられた個体と同じなのかな。ウチダ君とペンタのからみも可愛いんですよ!アデリーペンギンに似ているとはいえ、餌を食べずペンギンエネルギーで動いてるペンタは、鳴き声が本物とは違うんです。可愛く「きゅぅ?」って鳴くんですよ!餌を食べないなら臭いもしないんだろうし、あのモフモフなアデリーペンギンが触れてきゅぅって鳴いて懐くなんて羨ましいです。でも、可愛いペンタはアオヤマ君に相談しておそらく水族館へ電車で一緒に移動しようとする途中で元のコーラの缶に戻ってしまいます。コーラの缶へ戻る時、ペンタはよたよたとゲージから出て、苦しそうにして足元から風が出て、最後に顔がぐるっとして消えていきます。苦しそうな顔が見ていて辛いですよ。

 ハマモトさんの見つけた不思議な物体〈海〉の研究をアオヤマ君とウチダ君の3人で始めるシーンは、小学生の出来る範囲での最高な研究施設になっていて、素晴らしいです。形状変化の詳しい観察ノートもしっかりとしていて、見習いたいくらいです。海の表現も表面のさざ波から、波立って集まり小型の海を大砲のように放出するところが不思議で綺麗ですごく良いです。小説にもあったメビウスとトライアングルも見てみたかった。夏休みの研究的な何日かあって〈海〉がスズキ君達に見つかり、お姉さんとペンギン達が一堂に会して謎解きのピースがそろってきます。

〈海〉そして海を壊す「ペンギン」ペンギンを出す「お姉さん」ペンギンを食べる「ジャバウォック」、海から離れると消えるペンギンに、体調の悪くなるお姉さん。これらのピースを結び付けて「エウレカ」ですよ。悲しいけれどもアオヤマ君はそれを解決しないわけにはいかなかったんです。

〈海〉をめぐる大人達と子供のあれこれなんですが、ハマモトさんのお父さんが娘の研究ノートを見てしまったのはちょっと残念。原作の「本当に大切な研究のことは、うかつに人にはしゃべらんもんです」というキャラから外れる気がするんですよ。なんというか、アオヤマ君のお父さんが素敵なのでハマモトさんのお父さんにも研究者的にかっこよくあって欲しかったです。大人達に得意げに〈海〉をしゃべってしまうスズキ君と、研究を取り上げられたハマモトさんの怒りは、原作以上に分かりやすくて良かった。

〈海〉があふれてからのアオヤマ君はかっこいいですよね。わからないものがあふれている中、分かっている事を実行出来るかっこよさが小学生とは思えません。学校を抜け出してお姉さんを探し、「海辺のカフェ」でお姉さんと出会って額を突き合せたり、頭を抱きしめてもらったりと羨ましい。

お姉さんと出会ってからのやり取りが切ないんですが「お姉さんは人間ではない」って言い切ってしまう所がアオヤマ君の強いところなんでしょうか。お姉さんは、近所の胸の大きな優しいお姉さんという概念としてのお姉さんだったと思うのですが、それでも育った海辺の町や両親の記憶、部屋にある写真などこの世界にとても根付いている存在なんですよね。それでも、お姉さんは「私は人間でない」と受け入れるます。アオヤマ君の仮説では〈海〉は世界の果てであり、この世界の穴であり、ペンギンはその穴を修理するために存在していて、お姉さんはペンギンに近い存在なんです。だから人間ではないんです。

ここからはペンギン祭りです。色々な物がペンギンに変わって群れになってお姉さんとアオヤマ君を〈海〉へと導きます。スピード感にあふれるペンギンパレードは見ごたえがありました。一変して〈海〉の中の海に浮かぶペンギン筏に笑いを持っていかれましたけど!〈海〉の中の映像は綺麗で切なくて不思議なんですが、もっとペンギンを出して欲しかった!研究者達のいる場所までの道とか広場とかもっとペンギンがいて欲しかったです。さらに言えば、飛んでいくペンギンももっとたくさんペンギンが見たかった!壊れた〈海〉の流れる中とか、もっと泳いでいて欲しかったです。

「この謎を解いてごらん。どうだ。君にはできるか」からの謎解きが「それが君の答えか、少年?」と、アオヤマ君の出した答えが切ないですね。アオヤマ仮説にすぎないから、〈海〉を少し残せば、とお姉さんを存在する方向に進んでも、賢い少年は世界の穴は修復しないといけないと分かっているんですよね。お姉さんとの別れは必然であるからアオヤマ君は泣かないでしょうね。

ひと夏の冒険はワクワクして切なくて、終わると寂しい物なのです。それでもアオヤマ君はいつか世界の果てにたどり着いてお姉さんに会えたら良いなと思います。小説の終わりにあるお父さんとの会話で「それでも 、みんな世界の果てを見なくてはならない」にぐっと心にきました。映画だと原作に無いペンギン号を見つけるシーンが追加されていて、もしかしたらお姉さんとアオヤマ君は会えるかもしれないという余韻が甘く切なくありました。

 「ソラリス」を読んだ後だと、アオヤマ君がお姉さんにもう一度会えるって確信してる事が同じでグッときます。そしてEDの「Good Night」は原作だとお姉さんに言いたいセリフとして出てきます。アオヤマ君ノートにもありますが、夜寝る前に言いたかったのに言えなかったというのが切なくて悲しい言葉なんですよ。それをEDに持ってくるのは本当に泣けます。

 映画では省略されたウチダ君の研究はすごい考えさせられるので、映画が気に入った人は原作の小説を読んでみて下さい。そしてハードSFが大丈夫でしたら「ソラリス」も是非!

 

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

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ペンギン・ハイウェイ (角川つばさ文庫)

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ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

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ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

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ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

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映画 「ペンギン・ハイウェイ」

ペンギン・ハイウェイの映画を観てきました。

penguin-highway.com

少年アオヤマ君とお姉さんのお話が、原作よりも余韻を残す終わりで、ペンギンハイウェイでした。観終わった後にカフェでコーヒーを飲みたくなる素敵な終わりになっています。

映像の持つ力ってすごいですね。海の不思議さと大量のアデリーペンギンが良かった。海の不思議な現象とか、ジャバウォックの消え方、神様の実験とか見たかった映像が観れました。やっぱり綺麗でしたよ。ケーキはもっと観たかったかなぁ。そしてアオヤマ君ノートの全てが読みたいです。

この映画どちらかと言うと男性向けな映画だと思っていたのですが、女性のお客さんも結構居ました。個人的には男性の方に観て頂いての感想が色々聞きたいと思います。男性ならアオヤマ君になれるけど、女性はお姉さんになれないのが寂しいです。

 

映画、原作の小説、どちらを先にみても良い作品ですので、気になった方は是非アオヤマ君とお姉さんとの物語を楽しんで下さいね。ちなみにアデリーペンギンは国内では、八景島シーパラダイス・名古屋港水族館・アドベンチャーワールドの三ヶ所で見れるようです。南極昭和基地でも見れるそうですよ!

 

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ペンギン・ハイウェイ 完全設定資料集

ペンギン・ハイウェイ 公式読本