なみのりいるかの夢

しばらくは雑記です。

「貝と文明」ヘレン・スケールズ著 林裕美子訳

軟体動物としての貝から食料や新薬まで様々な貝について興味深い内容でした。

思ったより長く続いていたタカラガイを貨幣として使う貿易はキイロダカラと、ハナビラダカラを取引に使われていたとか。1億個もの貝が流通に乗っていたのも不思議な感じです。

海の絹で作られた布の話は物語が書けそうなくらい。足糸を布にするなんてなかなか思いつかない事なのに昔からあったらしい。ヨーロッパで作られていたというのだけど、日本では長い足糸の貝が生息していないので作られなかったのは残念な事。

新種についても色々と。海の中ということもあってまだまだ新種が見つかる世界なんですって。

イモガイから新薬が研究されているのも興味深い。

菜食主義の方々がカキやイガイなどは植物的だから食べても大丈夫と分類しているのが面白かった。痛みを感じる器官があるかどうかが重要らしい。特にカキは餌を与えることもなく薬を与えることもなく環境負荷の少ない食糧になるらしい。海水を濾して餌をとるので水質改善にもなって良いのだろう。

貝は海の環境指標にもなるだろうから今後は養殖も増えていくのかもしれない。貝について色々知れて良かった。