なみのりいるかの夢

しばらくは雑記です。

小説 臨機巧緻のディープ・ブルー 小林一水

国産SFのファーストコンタクト物を探しています!という事で、色々な方に聞いて回りお薦め頂いております。

臨機巧緻のディープ・ブルー 小林一水

臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)

こちらもTwitterのフォロワーさんより、ファーストコンタクト物でお薦め頂いた国産SFです。

海洋生物好きにはとても嬉しいお話でした。呼吸を司る部分、親愛の表し方、ほんのりと出てくる生殖に関する記述も説得力があり、すんなりと世界に入っていけました。生殖方法が変わると思想的な部分に大きな差が出ていたり、扱いが違っていたりと面白いですね。
ファーストコンタクト部分はコンタクトアクションと呼ばれ、すでに実績のあるコンタクト方法が確立されています。その中でもボイジャー計画を思い出させるような物もありました。「プレゼントボックス」と名付けられた贈物が出てくるのですが、内容がとても面白いのです。回収されるかどうか、何か返ってくるかなど全てを含めて考えられており、相手について明らかになる過程も含めて面白いです。

3つの種族がどの様にに関わり、どの様に関係を維持するか、最後まで読んで下さい。主人公とディープ・ブルーの住人との出会いと別れは必然ではあるのですが、やはり寂しさがありますね。
「ーそれまで、ともにくらそうか、ヨルヒア」この最後の長老との会話がほんの少しだけ希望と言うか夢を感じさせられて素敵でした。