なみのりいるかの夢

しばらくは雑記です。

小説 大きな熊が来る前に、おやすみ。 島本理生

表題とあと二つの短編が載っています。どれも恋する女性のお話。

大きな熊が来る前に、おやすみ。 (新潮文庫)

先日、島本理生さんの新刊のお話をした時に、フォロワーさんの好きな作品をお聞きして、気になって読み直してみました。

 

大きな熊が来る前に、おやすみ。

夜、寝れない2人、色々あってと言うにはちょっと彼女が心配になるほどの関係ではあるのですが、最後が好きです。今までではなく、これからにつなぎたい終わり方でした。「それでもここからまた一つずつ積み上げていくしかない」このセリフの為にある物語な感じです。

 

クロコダイルの午睡

ちょっと他の作品とは違う短編です。なんでかなぁと読み進んで気がついたのは、男の人が良くしゃべるのですよ!個人的には色々話してくれる人はありがたいのですが、口は災いの元でもあります。そういうお話です。それでも、服を買ったり髪やネイルに気を使う彼女はとても好きです。

そしてお腹が空きます。青森のめったに手に入らない美味しい日本酒を味わいたくなりますよ。彼女のようにお料理が出来て美味しい物が分かるようになりたいものです。

 

猫と君のとなり

彼女が悩みつつ穏やかな関係を育んでいく過程をあたたかく見守るような、柔らかいお話をです。2人とも出会えて一緒に居ることができて良かった。最後のお願いが満たされて初めて言えるセリフ、ここにたどり着くまでの素敵な物語でした。

 

悲しい時のスープや、公園でのお弁当のサンドイッチ、タコとニンニクの芽のスパゲッティー、甘くないチーズケーキ、お料理が色を付け、香りを追加して、彼女達の心を鮮やかにしている気がします。出来ればおやつを食べた後のコーヒータイムに読む事をお勧めします。

 

 

ナラタージュ (角川文庫)